向こう岸へ渡ろう
向こう岸へ渡ろう
台風8号が日本各地に大きな被害を残しました。
台風の規模や進路は、天気予報によってある程度の予想が可能ですが、それでも予想を超える強風や大雨があった場合には台風が様々な被害を引き起こすことになります。
自然界に嵐があるのと同じように、わたしたちの人生にも様々な嵐が吹き荒れます。
ある日突然、全く想像もしなかった嵐に見舞われることもあれば、「来ることが分かっていても耐え難い嵐」もあります。
聖書は、「神様を信じていれば嵐は来ない」とは教えていません。
神様を信じていても、あるいはそうでなくても人生に嵐はやってきます。
ある日、イエス様は弟子たちに「向こう岸へ渡ろう」と言って彼らと共に舟に乗り込まれました。
出発して間もなく、一同を乗せた舟は激しい嵐に見舞われます。
弟子たちの中にはかつてガリラヤ湖を職場としていた漁師たちもいましたが、あまりにも強い風に恐れをなし、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と叫びました。 <新約聖書・マルコによる福音書 4章より>
イエス様と同じ舟に乗っていながら恐怖のあまり泣き叫んだ弟子たちの姿が、自分の姿と重なって見えます。
私自身イエス様を信じているはずなのに、人生の嵐の中で何度イエス様を見失い、泣き叫んだことでしょうか。
イエス様はそのような弟子たちに「おまえは不信仰だから弟子失格!」とは言われませんでした。
弟子たちの、そして私たちの不信仰も弱さも恐れも…すべてを知った上で、「(私と共に)向こう岸へ渡ろう」とイエス様は招いてくださったのです。
私はこの「向こう岸へ渡ろう」という言葉が大好きです。イエス様の優しさが心に染みてくるように感じるからです。
嵐の厳しさが、私たちのそば近くにいるはずのイエス様を見失わせてしまうことがあります。
しかし、嵐の中でこそ、共にいてくださるイエス様の本当の有難さを知る者でありたい、と願うものです。
セブンスデー・アドベンチスト八王子キリスト教会 牧師:伊藤 滋